古代から人間は戦いにおいて敵への威嚇と、自身や同胞への加護そして覇権への願いをこめて
獣や伝説上の怪物などの姿を象った武具を装備したり、
乗り物や武器をその姿に模したりしてきた。
敵陣に攻め込むとき、隊列の先頭に既に捕らえて殺した敵の死体を晒したり、
その首を長い槍に刺して宙に掲げたり、その皮や骨で装飾品や盃などをつくり
誇らしげに所持するなどもしてきた。

怪物には特別な力があると信じて、
 それらに命運を託してきたのである。
   ゾクゾクするほどロマンチックではないか!


・・・・・・・文明が進歩しても古代の野蛮な戦士の感性は絶えることなく受け継がれて
兵器の姿に投影され続けている。
戦う乗り物に顔をつくり、怪物の姿にしてその特別な力を宿すという行為・・・・

現代においてもジェット戦闘機の機首によくみられる鮫口や猛禽の顔、
尾翼などに大描きされるドクロや、ドラゴンなどの怪物のイメージ。これらのルーツは皆、
古代の戦場におけるシャーマニズムであろう。

(ちなみに、第二次大戦中のアメリカの爆撃機におおくみられたセクシーでガーリーなピンナップガール
たちは十何世紀の大航海時代から帆船の舳先に多く奉られていた女神像の俗化した姿といえよう)

高空を音の速さ以上で飛び、地上を攻撃する乗り物など、その存在も戦法も古代の戦士や王権は想像も
できなかっただろう。 鳥のように空を飛びたいと考える者は多かっただろうが、空から地上を攻撃するなど
とは人間を超えた畏れ多い発想でありそれは神か怪物の力の領域にとどまっていた
ことだろう。
ジェット戦闘機・・・・・
古代の武器とは隔絶した次元の、たいへんに高度なロジックとシステムで動く乗り物である、しかし
例えば鮫口のペイントひとつで、古代の戦士のフィールドへ突き落とされてしまっているようで痛快だし
感慨深いものがある。
・・・・・・その姿はテクノロジーをどこかへと追い遣り、
腕力とまじないを必要としているかのように映る。