毒々ミニチュア館管理人の本棚より:『ミイラが呼ぶ夜』 やすだたく

 

 

 

 

 

昭和57年に発行された作品である・・・

鳥の剥製作りに毎日没頭している陰気な男。人里離れた自然の中に立派な邸宅を
建て、自らの手になるたくさんの鳥の剥製に囲まれてひとりで住んでいる。定職には
ついていないらしいが(町の電器屋の倉庫でアルバイト?)金には不自由がないようだ。


彼は邸宅のなかの一室に少年の頃死別した最愛の妹のミイラ化遺体を安置している。
いつもひとりでいる「妹」に友達をつくってあげたいという狂った想いから 男は町で小学生
の少女に声をかけ薬品を嗅がせ、車の後部座席に寝かせて連れ去る・・・

男の邸宅の一画から堅牢な外観で窓が僅かな棟が続いており、そこに少女は監禁され
ている。 その内部はひどく痛んでおり廃墟のようである。もともとそこにあった古い何かの
施設の外観の整備とも併せて連結するように邸宅を建てたのだと考えられる・・・・・
(巻末の作者あとがきで 作者自身が子供の頃遊んだ、金持ちの屋敷の中庭にあった
コンクリートでできた防空壕について述べているのでそのイメージなのだろう)
 男は拉致監禁などの犯行の計画予定を元にこのような邸宅を建てたのだろうか・・・

監禁した少女に、男は自慢の剥製の数々をみせる。少女は怯えひきつりながらも男の
世界につきあうふりをする。「死んではいない! 生きているんだ 永遠の命を与えた」
などと少女に剥製を熱く語る狂った男。

そして男は「妹」を少女に会わせる・・・・棺桶から這い出し暗がりの中で少女に寄る
男の「妹」!!!少女はあまりの恐怖に気絶する。・・・・・・意識の戻った少女に男は
今度は「妹」の服を着せようとする。嫌がる少女は抵抗し「妹」の服を破ってしまう。
逆上した男に殺されかけた少女は 男の狂った要求をのむ。しかしすきをみて邸宅から
逃亡をはかる少女の企みに気づいた男は「おまえはウソつきだ!やっぱり生きている物
は信用できない!」「みんな(鳥の剥製)のようになってもらう そして永遠にボクに忠誠
を誓うのだ・・」
と少女を剥製にするつもりになったのだが、足元に男の「妹」が這いより
「やめてお兄ちゃん」と訴え  少女は救われるのであった・・・・。



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大きな邸宅にたった一人で住み 毎日好きな事だけやり、自分だけの世界に生きる、
遺産でなんとか食べていける男・・・なんてうらやましい・・・・この男になりたい・・・
                  

     それが管理人の、この作品の一番の感想であった。

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